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国交・厚労省居住支援全国サミット
  • 2024/04/02
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物心両面のサポート必要

2023年度居住支援全国サミットが11日に開催された。国土交通省と厚生労働省が、いわゆる住宅確保要配慮者に対する施策や知見を共有する場として主催。今回は8日に閣議決定された、住宅セーフティネット法改正案と生活困窮者自立支援法改正案に焦点が当てられた。

国交省・石坂聡住宅局長は前者の改正の背景に関して、「昔に比べて、家族を頼りにできる人が少なくなった現実を踏まえている。今後は家族単位ではなく、街づくりの観点から居住支援を進める必要がある」と語った。また、厚労省・間隆一郎老健局長は「今後、単身高齢者が増加すると地域コミュニティの希薄化が懸念される。地域包括ケアの推進のためには住宅の確保が必要になる。生活困窮者自立支援法を改正し、自治体の役割を明確にすることで、現場に必要な体制を整えていく」と話した。

次に国交省住宅局安心居住推進課・津曲共和課長が住宅セーフティネット改正法案について解説。「居住支援法人の業務に残置物処理を明記し、これが運営する居住安定援助賃貸住宅(居住サポート住宅)を市区町村が認定し、供給の促進を図る。また、居住支援協議会の設置を市区町村の努力義務としている」と説明した。厚労省老健局高齢者支援課・峰村浩司課長は30~50代の持ち家率は低下傾向にあることを指摘し、「彼らが高齢者になった時に安心して賃貸住宅に住む必要がある」と語った。厚労省社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室・米田隆史室長は生活困窮者自立支援法改正案に関して「市区町村の住宅確保要配慮者に対する相談体制を明確化し、入居後の見守り支援は努力義務とする」解説した。

日本社会事業大学専門職大学院・井上由起子教授は、住宅確保要配慮者が家族・友人・知人との関係から成る「サポーティブ関係」、不動産業者との「顧客関係」、相談援助職との「支援対象関係」を構築する必要があると説明した。また、高齢者と生活困窮者では支援の性質が異なると指摘。前者は身体・認知機能の低下を助ける介護が必要であり、後者は成人になる過程で獲得できなかった自尊心や他者との信頼関係を養うための手段的サポート(現物・サービス給付)と情緒的サポートが必要と説いた。

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