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アサヒサンクリーン 飯出純也氏に聞く ICTと学校で学習・定着を支援
  • 2024/04/23
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日本と母国の人材還流も視野に

政府が外国人介護人材の就労機会の拡大を狙い、議論を活発化させる中、民間では独自に受入体制を強化するなど、企業の先駆的な取り組みが目立ち始めた。現地法人アサヒサンクリーン・ベトナムを設立し、併せて国内では日本語学校の整備を進めている、訪問入浴大手のアサヒサンクリーン(静岡市、浅井孝行社長)の飯出純也常務取締役に今後の事業の方向性を尋ねた。

――外国人介護職員、特に介護福祉士の採用・育成計画をどのように考えているか。

訪問入浴では現行の制度上、技能実習生と特定技能者の受入れができない代わりに、介護付き有料老人ホームで積極的に彼らの採用を進め、現在約30人(その他の在留資格を含めると約80人)に上る。当社の採用の方針として、3年、5年の有期雇用で終わるのではなく、介護福祉士まで育成することを目指し、またその意志のある人を求めている。そのために外国籍の人が資格を取得するための仕組み作りをしている。介護福祉士試験対策アプリの開発もその一環だ。これを活用して、特定技能の2人が試験に合格している。

――今年3月には日本語学校をグループ傘下に収めているが、今後の介護・日本語教育はどのように変化するのか。

介護福祉士の試験に合格するにはN2程度の日本語能力がないと厳しい。当社グループのつばさ日本語研修センターのシナジーが必要だ。現在、初任者研修と実務者研修の講師のほとんどは日本人が受け持っているが、外国籍の人にとって学習するハードルが高い。教師と生徒が母国語で対話できる環境を作りたい。当社開発の独自ツール、独自スクールを活用し、外国籍の人のための介護と日本語の学習環境の整備を進めていく。

――政府は外国人介護職員の訪問介護・訪問入浴への就労条件を緩和しようとしているが、これをどう受け止めるか。

訪問入浴は3人1組で仕事をするので、今後、政府の規制が緩和し、技能実習生、特定技能者が訪問入浴で働くのは問題ないと思っている。ただし、訪問入浴は機材の運搬、組み立てなど、一連の特殊な作業を身に付ける必要があるので、入国後はもちろん、入国前の研修を丁寧に行わなければならない。当社はベトナムとミャンマーでそのための環境を整えている。入国前にきちんと研修を行えば、受け入れる事業所の負担も少なくなる。

――今後、外国人介護人材はどのような発展を遂げていくか。

ありがたいことに「日本でずっと働きたい」(訪問入浴介護員ヴォ・ティ・ヴィさん)と言ってくれる人は多いが、やがて彼・彼女たちが帰国する日も来るかもしれない。ベトナムも今後、高齢化社会を迎える。しかし、その担い手である介護職員がいない。看護師のみに任せているのでは、介護が自立した産業として発展しない。日本で介護職員として勤めた後、母国に帰国しても再び介護職員として働ける環境を整えていく。そのための方法を模索するのも、現地法人であるアサヒサンクリーン・ベトナムのミッションのひとつだ。

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