- 2024/04/30
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介護保険外で世代間交流
介護保険だけでは支えきれない高齢者のニーズに応えるため、国は介護保険外サービスの活用も後押ししている。介護保険外サービスの利用は、家事の援助や配食サービスなどが中心だが、京都大学発のベンチャー企業whickerの提供する「まごとも」は、介護保険外で高齢者に「楽しい時間」を提供するサービスだという。
代表を務める山本智一さんは、京都大学大学院に在籍する現役の大学院生。whickerを起業するにあたっては、介護施設でのアルバイト経験も大きかった。
「高齢者は無意識的に若者との交流を望んでいるのを感じました。同時に、介護の仕事をしない若者でも高齢者を嫌っているわけじゃない。だから、友だちとして交流する『まごとも』が生まれました」
主なサービス内容は、大学生が高齢者の自宅に訪問し、スマホの使い方を教えたり外出支援をしたりするというもの。余暇活動や話し相手などの依頼もあり、離れて暮らす家族には写真付きのレポートも送る。現在は東京、大阪、京都を中心に展開しており、70人ほどの学生スタッフに業務を委託。1時間2500円の利用料と一律500円の交通費で提供している。
「ヘルパーや家事代行サービスと比較しても、介護スキルやクオリティでは勝てません。だから、孫世代の学生ならではの楽しい時間を提供できるのが強みです」
ただ、課題もある。事業として成立させるためにはリピーターになってもらう必要があるが、現状高齢者の高頻度のリピートは少ないという。常に新規の高齢者を求め続けるのは、運営側としても疲弊の原因だ。
「今後は親を心配するビジネスケアラーを対象に考えています。高齢者版ベビーシッターのようなイメージで、介護の負担軽減に寄与しながら展開できればと考えています」
6月頃には学生と高齢者をマッチングするアプリもリリース予定。山本さんは世代間交流を通じて、若者に多様な価値観を持ってもらい、違いを楽しみ笑い合える社会を作っていきたいと話していた。新進気鋭の介護保険外サービスに期待が集まる。