- 2024/05/10
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対話が根付きヘルパーに安心と希望
山形市・訪問介護こころ 半年間で離職ゼロに
山形市は2022年度から、地域創生推進事業として、介護現場の働き甲斐を高める生産性向上モデル事業を行っている。昨年度は初めて訪問介護事業所が参加。退職者が絶えなかった職場に対話が根付いたことでヘルパーに安心と希望が生まれ、退職者はゼロになった。介護人材不足解消に向け今年度から全国の介護現場や自治体で生産性向上の取り組みが本格化する。その本質は人づくりだということを改めて伝えたい。
「今日は誰が退職届を持ってくるのだろう……。毎日出勤するのが気が重くて仕方ありませんでした」。苦笑いしながらそう話すのは、訪問介護事業所こころの管理者・深瀬善弘さんだ。母体の株式会社cocolo(山形市、柴﨑和代表取締役)は2017年、訪問理美容サービスから介護事業に参入。ほどなくして訪問介護事業所を立ち上げ事業を拡大してきた。急成長する中でも、常に訪問介護は在宅支援を方針に掲げる同社にとって柱。わずか3人から始まった事業所には今では40人のヘルパーが在籍する。だが、その陰で退職者も増大していた。毎月2、3人のヘルパーが職場を去っていく。気が付けば、2022年度の離職率は4割にも達していた。
「ヘルパーがいなければ地域のニーズに応えられない。何とかしなければと、山形市の生産性向上モデル事業に手を挙げてみようと思いました」(深瀬さん)
山形市は2023年度から、地方創生推進交付金を活用して介護現場を核に働き甲斐のある職場を全県に広げ、人が定着し経済の活性化を目指す地域づくりに取り組んでいる。伴走支援は、市と包括連携協定を結んだTRAPE(大阪市、鎌田大啓代表取締役/CWD)が行っている。初年度のモデル事業に参加した小規模特養では、やりがいが増したと感じる職員が7割まで増えるなど大きな成果を上げた。こころは2年目のモデル事業に選定された。(以下略)