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遊歩道
  • 2024/05/17
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ひと月ほど前、義母が亡くなった。89歳。20年近く在宅で介護生活を送っていた。担い手は同じ歳の義父。いわゆる老老介護だ▽義父も自身の老いと持病に苦しんでいたが、他人の手を借りるのを頑として拒んだ▽いつものように義父が義母をお風呂に入れている時、義父が気を失ってしまい、溺死したという痛ましい事故▽何かしらのリスクは想定していた。だったら無理やりにでも介護サービスや見守り機器を使わせれば良かったか▽寝る時は手をつないで、返事のない義母に語り掛けていた義父。安らかな表情を見ながら、最期まで一緒に暮らせて幸せだっただろうと思った▽ある人がくれた言葉。「介護サービスは〝安全で安楽〟を提供できるかもしれないが、引き換えに価値観やプライドを捨てなくてはならない。尊厳とは、当事者にならない限り理解が及ばない領域なのかもしれない」。皆さんはどう思うか。

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