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2024年度介護報酬改定 試される多職種の「チーム力」 日本作業療法士協会・山本伸一会長
  • 2024/06/25
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2024年度介護報酬改定では、特養、老健などの施設から、通所・訪問リハなどの在宅サービスに至るまで、リハビリテーション・口腔・栄養の一体的取組が求められ、加算などで評価されるようになった。多職種協働のケアを実践してきた、日本作業療法士協会の山本伸一会長にその意義と評価について聞いた。

全国に11万6千人の作業療法士(OT)がいますが、その約6割が病院の回復期病棟で働いています。生活期の施設や事業所で働くOTは約2万5千人、全体の約1割にすぎません。本来、急性期・回復期・生活期、そして、終末期での理学療法士(PT)、OT、言語聴覚士(ST)のバランスの良い配置が必要です。実際、通所リハでは、3職種が揃っている方が、リハビリテーションマネジメント加算の取得率が高いという事実があります。

令和6年度改定で、リハ・口腔・栄養の一体的取組が評価されました。「リハビリテーション実施計画書」に口腔・栄養の情報が一体的に運用されることで、多職種の相互連携がしやすくなることは間違いないでしょう。もちろん、実施計画書のみですべてが解決するわけではありません。歯科衛生士や管理栄養士が加わり、リハビリ会議で膝を突き合わせる必要があります。職種の垣根を超えた「チーム力」が試されているのです。

リハビリテーションでは、機能訓練の負荷や活動量に応じて、エネルギーなどの栄養を確保することは大切であり、口腔・栄養の情報は、心身状態の回復の指標となります。対象者の筋力やバランスの向上とともにシャツを着る動作、包丁を握る動作などの様々な生活行為の改善や自立支援には口腔・栄養との一体的なアセスメントが必要不可欠です。

しかしながら、経口から自力で摂取できない、むせる場合等、例えば胃ろうも選択肢です。管理しやすく、栄養補給も容易であることから、負担が少ないことにより推奨されることもあります。しかし、それはあくまでも自分で食べることができるためのサポートであることを忘れてはなりません。口から食べるということは、咀嚼をするということ。頭部と体幹のバランスがよくなる、発話がスムーズになることにつながります。その機能が上がれば、結果的に誤嚥性肺炎のリスクも低下します。リハ・口腔・栄養の一体的取組は自立支援・重度化防止を効果的に進めるために必要不可欠なのです。

また、今回の介護報酬改定では、訪問リハの認知症短期集中リハビリテーション実施加算の新設と、老健の認知症短期集中リハビリテーション実施加算の見直しがされました。私たちは認知症の人の生活を見て、必要な環境調整を行い、生活行為に対する反復練習などを行います。認知症であっても、有する能力を最大活かして日常生活を継続できるようにすることが求められています。(談)

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