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「効果的」なケアマネジメント追求を 横須賀でケアマネ学会大会
  • 2024/07/02
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人材不足、WEテーマにシンポ

 今月22・23日に神奈川県横須賀市で開催された日本ケアマネジメント学会第23回研究大会(大会長=柴山志穂美神奈川県立保健福祉大学准教授)では、ケアマネジャーの確保やワークエンゲージメントに関する議論が目立った。「人材不足の中での効果的な業務」をテーマにしたシンポジウムに登壇した北星学園大学社会福祉学科の畑亮輔准教授は、ケアマネ1人当たりの取り扱い件数が増やされた中でも、「効率的」なケアマネジメントではなく、利用者支援を重視した「効果的」なケアマネジメントを目指すべきと訴えた。 畑准教授は、今年度の介護報酬改定で、ケアマネ1人当たりケアプラン数が45件未満(居宅介護支援費Ⅰの場合)まで増やされたことについて、「利用者支援を削って必要な事務作業を中心に行うケアマネジメントになる危険性がある」と警鐘を鳴らした。

書類作成や報酬請求などの増える事務作業をこなすため、与えられた基本業務のみを遂行し、それ以外の取り組みを行わない働き方が広まることへの懸念だ。そうしないために畑准教授が現在取り組んでいるのがケアマネのワークエンゲージメント(WE)に関する研究。WEとは、仕事に誇りを感じ(熱意)、熱心に取り組み(没頭)、仕事から活力を得ている(活力)状態のこと。バーンアウトを回避し、仕事にポジティブに取り組むにはWEの達成が重要という考察に基づき、どうすればWEが高まるかについて、今年に入って1千カ所の居宅介護支援事業所を対象にアンケート調査を実施。WEの尺度を使って得点化した。

その結果、WE得点が高いと主観的に健康な状態で働いている可能性が高いこと、自立支援に着目した実践をより行っていること、離職意向の低減に影響していることが分かった。ケアマネの人数や実務経験年数、ケアプラン作成数は有意な関連はなかった。一方、事業所への愛着が高いほどWE得点は高かった。

結果から、畑准教授は、「人数や加算の取得状況よりも、協働する雰囲気や関係性の構築、地域での支え合い、ケアマネへの肯定的なフィードバックができる事業所の体制が“効果的なケアマネジメント”につながるのではないか」と考察した。

同じく登壇した白木裕子フジケア社長は、ケアマネ事業所の管理者が主任ケアマネに限定されている点について、「管理者はケースを持ち、主任資格を維持しながら管理業務をやらなければならないと、負担が大きい。本来なら主任介護支援専門員は介護支援専門員のロールモデルであるべきだが、そうなっていないためにケアマネのやりがいがなくなり、職場から去っているのではないか」と述べ、管理者業務と主任介護支援専門員の取得は分けて考えるべきと提言した。

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