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2040年の介護人材不足に備える テクノロジー導入には丁寧な説明を
  • 2024/08/27
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SOMPOケア(品川区、鷲見隆充社長)は介護テクノロジーを積極的に導入することで、人材不足を解消し、自社のみならず業界全体の生き残りを図る。鷲見社長にその取り組みを尋ねた。

 

SOMPOケア 鷲見隆充社長

――少子高齢化で生産人口が減っていく中、介護事業者にできることは。

新卒採用が年々厳しくなっている。2021年は380人、22年は441人、23年は276人採用している。コロナ禍の期間は一時的に採用は増えているが、その後、徐々に減少し、これが普通になりつつある。日本人の出生率を見ると、2040年に介護人材が足りなくなるのは明らか。この事実から目を背けてはならない。

従来の多数の人手に頼った介護は間違いではないが、今後、介護人材は減っていくので、その事態に備えなければならない。テクノロジーを導入して、業務のムリ、ムダを減らし、人にしかできない「未来の介護」を実践していく。5年後、10年後も継続できる介護のひな形を作る。私たちと同じく人材不足に悩む小売業界、物流業界なども様々な施策を講じている。私たち介護業界も知恵を絞らなければならない。

――介護現場の生産性の向上に必要なのは何か。

弊社も当初はテクノロジーを「入れればいい」という安易な認識で進めて、導入に失敗した経緯がある。本来は導入の背景を利用者と職員に丁寧に説明しなければならない。新しい技術に対して反発はある。現場の職員と経営者の考え方を一致させる必要がある。

業務効率を改善し、生産性が向上することで、職員同士、そして、利用者とのコミュニケーションの機会が増える。その結果、サービスの質も担保される。職員の残業が減り、有休の取得が増えることで、職員の定着率も上がる、良い循環ができる。

テクノロジーの導入の可否など、最後の判断基準は現場にある。職員の給与水準・休暇日数の問題も、彼らに聞くことで答えが出る。現場から情熱をもらい、介護業界の改革を進めたい。

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