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「圧倒的に公的支援が少ない」 日本在宅ケア・サミット
  • 2024/09/03
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被災時の支援継続、実践と課題を議論

日本在宅ケアアライアンス(新田國夫理事長)は7月28日、「日本在宅ケア・サミット2024」を都内で開催した。

日本介護支援専門員協会や日本在宅ケア学会など22団体が加盟。3回目の今年は「ここで暮らしつづけたい」と題し、今年1月に発生した能登半島地震や、13年前の東日本大震災で、避難所や在宅の被災者を支援した医師や看護師がその実態を報告、今後の復旧・復興支援のあり方を議論した。

能登半島地震で被災した能登町の小木クリニックの瀬島照弘院長は、停電・断水が続く中、避難所や自宅生活者への診療を行った。津波により多くの住宅が倒壊した様子は、「今も変わらない」と報告した。

能登では医療機関の閉院、グループホームの廃止など、多くの医療・介護資源や、支援者の激減が課題だ。現役世代が急減する2040年に向けて同様の事態が全国で起こるとして、行政による環境整備の必要性を訴えた。

輪島市にある訪問看護ステーションリベルタ能登の中村悦子エリアマネジャーは、「地域生活支援ウミュードソラ」を福祉避難所として、一般避難所では受入れが困難な住民の食事・排泄・運動を支援。一方で、食品などの物資がおにぎりやラーメンに偏っていたり、水の支給も滞りがちだった。「支援に頼るだけではなく、自助・共助で支える地域力を育む必要がある」と述べた。

実践報告を踏まえて、コミュニティヘルス研究機構の山岸暁美理事長は「発災から数カ月経過後の、災害関連死が増加するフェーズで圧倒的に公的支援が少ない」と指摘。この改善のため山岸氏を代表とするDC‐CATという約600人の現役の看護・ケア職の団体を立ち上げ、災害のフェーズやニーズの変化に応じて、被災地に看護・ケア職を派遣し長期的・継続的な支援を実施している。

山岸氏は、災害救助法に「福祉」の規定を入れる改正を行うこと、被災市町村の負担を軽減する仕組みを構築することを提言。また、「町の中の施設職員は町外に行くのではなく、町にとどまって福祉避難所や介護施設のサポートをしてほしい」と訴え、「地域BCP」の策定が重要と強調した。

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