- 2024/09/10
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定着には教育の要素が不可欠
外国人介護人材の獲得に向けて、各社が独自の取り組みを進める中、ヒューマンライフケア(新宿区、瀬戸口信也代表取締役)は2020年から特定技能登録支援事業を開始。自社および他社の外国人材の採用・定着・育成に関して、一気通貫の伴走支援を提供してきた。介護総合営業部・泉直樹課長に同社の施策と業界の課題について尋ねた。
ヒューマンライフケア・泉 直樹 氏
――外国人材が就労するのに適切な業態は何か。
当社では介護付き有料ホーム、グループホーム、小規模多機能、デイサービスで就労している。訪問介護は今年度末に、技能実習生、特定技能者の就労が解禁されると見込まれているが、慎重に対応すべき事案だ。日本語のコミュニケーションに不慣れな外国人が、利用者の自宅に1人で訪問するのは難しいのではないか。利用者のみならず、外国人職員の安全を守る責任がある。介助は問題ないが、文化の違いは大きい。状況を見て検討したい。当面はサ高住や住宅型有料ホームへの訪問を考えている。
――外国人材が職場に定着するための施策は何か。
人材担当者が定期的に配属先の事業所を訪問し、状況の確認・共有を行う他、課題のヒアリングを行う。また、当社独自の研修システムを備えており、関東・関西で定期的に集合研修を実施している。外国人職員は小規模の事業所では、日本人職員の間で、一人働いている場合が多い。交流の機会を設けて、友達・仲間づくりを支援する必要がある。
介護福祉士の資格を取得する意思の有無は、採用の大きな基準になっている。資格の取得後、5年以上の就労を希望するなど、目的を明確に持っている人を採用したい。外国人が就労する場合、教育・勉強の要素は必要不可欠だ。定着率にも影響してくる。弊社は専門の講師陣によるオンラインスクールを用意し、受講者はリアルタイムで質問をすることができる。動画配信よりも学習効率・満足度が高い。
――技能実習と特定技能で適性などに違いはあるか。
資質・適正の面でほとんど違いはないが、転籍に制限のある技能実習生に比べて、特定技能者は就労する職場をよく見極めている。従来は事業者が外国人材を選べる環境にあったが、今後は彼らに選ばれる事業者・施設になれるかが問われている。2027年には育成就労制度が施行されるが、特定技能の方が自由が多く、良い人材が集まると見ている。
――外国人介護人材をめぐる課題は何か。
介護業界の一番の課題は、人材が採用できない、定着しない点にある。業界として外国人の採用は必須になる。人間を支える介護という仕事は本当に難しい。介護福祉士になるまで教育・育成して、この業界を支える人材を確保しなければならない。
現在、介護分野は在留期間5年の特定技能1号のみ認められているが、他業界は在留期間無期限の特定技能2号を採用している。他業界との人材獲得競争はますます激しくなるだろう。外国人が介護業界を選び、「日本で働いて良かった」と思える環境を作る。そのために当社は、施設・人材マネジメントのノウハウを活かしたい。