- 2024/10/08
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要望でなく「提案」で
東京都練馬区で9月24日、区の高齢者施策担当職員と練馬区介護サービス事業者連絡協議会(事連協、加藤均会長)による懇談会が開催された。第9期介護保険事業計画に位置付けられた6つの柱をテーマに、ざっくばらんに意見交換を行った。行政に対し問題点の追求や要望を突き付ける場ではなく、区の介護保険をより良いものにしていくことを目的としている。
懇談会は、区役所の多目的ホールで開催された。参加したのは、事連協の会員である介護事業者から54人と、区の高齢者関連施策に携わる職員10人、区内6カ所の地域包括支援センターの職員で総勢70人だ。事業者は施設、在宅、居住系などサービスの種別に偏ることのないよう調整している。
「どんな意見が出たのか、メモや議事録は一切取らない、行政職員の発言に対して責任を追及することはしない。これが懇談会のルールです」と、加藤均会長。一般的に事業者と行政との話し合いとなると、事業者側が課題を指摘して改善を求めるなど対立関係になりやすいが、この懇談会では要望や要求は一切せず、お互いの意見はすべて「提案」としてキャッチボールするのが鉄則なのだという。
懇談会は、第9期介護保険事業計画の主要事項となっている6つのテーマ――①元気高齢者の活躍と健康づくり・フレイル予防の推進②地域との協働③認知高齢者への支援④在宅を支える医療と介護サービス基盤の整備⑤介護保険施設等の整備と住まいの確保⑥総合的な人材対策――に分かれて行った。各グループに区の担当者が1、2名ずつ入るかたちで、メンバー同士の距離がとても近い。車座のように膝を突き合わせて話しやすい雰囲気だ。
「懇談会は区と事連協の率直な意見交換の場として信頼関係を積み上げてきました。利用者、地域住民のニーズを一番良く分かっているのは、介護サービス事業者の皆さん。共に頑張ろうと言ってくれているようで、とても有意義な関係を築くことができていると感じています」
区の福祉政策全般を統括する吉岡直子福祉部長も駆けつけ、忌憚のない意見を交換できる貴重な場だと笑顔で挨拶した。
「物忘れ検診の受診率をどうしたら上げていけるか」というテーマで対話していたグループでは、「本人はもちろん、家族に周知するような工夫が必要ではないか」「デイサービスなどの壁にポスターを張ったり、何かのついでに渡せるチラシのようなものがあるといいと思う」など多様な意見が交わされた。約1時間半ほどだったが、どのグループも終始活発に意見交換が行われていたのが印象的だ。
「練馬区では従来から、介護事業者と行政が一緒に介護保険をより良くしていこうという建設的な姿勢で、こつこつと関係性を作ってきました。今回も実のある懇談ができたと思います」(加藤会長)