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高齢者の低栄養改善は一丁目一番地の課題 日慢協学会
  • 2024/11/26
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三浦健康栄養システム学会代表が講演

介護医療院や医療療養病床などを経営する病院を会員とする「日本慢性期医療協会」(橋本康子会長)は14日から2日間、第32回の学会を横浜市で開催した。15日は、「同時報酬改定とリハビリテーション・口腔・栄養の一体的取組」と題して、日本健康・栄養システム学会代表理事で、2014~16年に厚労省老健局長を務めた三浦公嗣氏が講演。「高齢者の低栄養状態は、何よりも最初に解決しなければならない問題の一つ」と訴えた。

三浦氏は、「入院している高齢者の4割が低栄養状態」という1990年代のデータを示した上で、「この割合はここ数年低下傾向にあったが、現在は足踏み状態。在宅で介護サービスを利用している人の7割が現に低栄養状態か、その恐れがある状態にある」と指摘した。

また、低栄養状態の高齢者は在院日数が延びる傾向があり、かつ死亡しやすいとのデータも示し、低栄養の改善が死亡や入院を防ぐことにつながると強調した。

要となるのが管理栄養士だ。早期に栄養介入すると死亡率が低下し、QOLが向上、医療の効率化にも寄与するとのエビデンスに基づき、2020年度以降、診療報酬・介護報酬上の評価が行われたと説明した。

そして、今年度の同時改定では、急性期病床や、介護保険施設などでの、リハビリ・口腔・栄養の一体的取り組みへの評価を導入。この改定に向けて健康・栄養システム学会が実施した調査研究事業では、一体的取り組みにより、コミュニケーションや栄養口腔、ADL、IADL、QOL改善のほか、誤嚥性肺炎の発症率の低下や、専門職のモチベーション向上などのエビデンスが得られたと報告した。

会場からは「在宅高齢者の低栄養を改善するにはどうすればいいか」との質問が上がった。これに対し三浦氏は「いま病院や介護施設で働く管理栄養士も仕事が忙しく、なかなか在宅まで訪問できないという悩みも多分あるだろう。今年度、厚生労働科学研究費で、医療機関から在宅移行するための適切な栄養管理に関する研究が採択された。在宅で栄養管理を行う人たちを地域で育て定着してもらう仕組みを考えたい」と答えた。

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