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解説 介護事業者の経営情報
  • 2025/01/28
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報告遅れで指定取り消しも

介護保険法の改正により昨年4月1日に創設された介護事業者の経営情報報告について、6日からデータベースへの入力が始まった。報告にあたり、改めて目的や手順などを確認しておきたい。

▼目的
厚生労働省は、介護保険制度の改正・介護報酬改定に必要な基礎資料を収集することを目的に、3年に1度「介護事業経営実態調査」を行っている。しかし、回答率が半数程度にとどまっていることや、訪問介護などではサ高住併設型事業所の存在などにより、以前から情報の偏りが指摘されていた。人材不足や物価高騰などによる影響も含め介護事業経営実態調査を補完し、より実態に沿った報酬改定を行うことなどを目的に始まったのが経営情報報告の制度だ。

▼報告内容・対象
収集する情報は、介護事業所における▽収益・費用▽職員の職種別人員数▽職種別の給与など。対象となる事業者は、原則として全ての介護サービス事業者だが、小規模事業者に配慮する観点から、当該会計年度に提供を行ったサービスの対価が年間100万円以下の事業者は報告が不要となる。災害など報告を行えない正当な理由がある場合も不要。報告は原則事業所単位だが、事業所単位で会計区分を行っていない場合は、法人単位での報告も認められる。

▼期限
基本的には、会計年度終了後3カ月以内の報告が必要。具体的には、今月末で会計年度が終了する場合、4月30日までの報告が必要となる。ただし、昨年3月31日から12月31日までに会計年度が終了している場合のみ、今年3月31日までの報告が求められている。

▼方法
報告は、厚労省が運営する「介護サービス事業者経営情報データベースシステム」で行う。本システムへログインするには、行政サービス共通認証システムである「GビズID」アカウントが必要だ。GビズIDのアカウントは大きく分けて、審査を行わず即日発行可能な「エントリー」と、マイナンバーや印鑑証明書などを用いて審査を行い発行する「プライム」がある。経営情報データベースシステムは「プライム」アカウントの取得が必要。報告対象の事業者は事前に取得しておこう。すでにアカウントを保有している場合、新たに取得する必要はない。

▼罰則など
なお、報告が遅れたり行わなかった場合は、介護保険法上で指定の取り消しなどが規定されている。実際の対応は都道府県に委ねられており、未報告の事業所への催促などが行われるが、忘れないうちに報告を行っておきたい。決算後に監査を行うために報告が遅れるなどの場合は、事業者と都道府県の間で事前に相談を行い、監査終了後早急に提出するようQ&Aで求めている。

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