- 2025/02/04
- バックナンバー
- 最新ニュース
鍵は月1回の読書感想会
介護人材の定着率改善が問題視される中、職員を率いる管理職への教育も重要な取り組みの一つだ。ケアメイト(品川区)では、管理職を対象とした研修として、読書感想会を行っている。
* * *
同社は1996年に創業し、東京都の城南地区で訪問介護や看護小規模多機能型居宅介護などの事業所を運営している。そのほか、保育所や認定栄養ケア・ステーションなども含む計9事業所を経営。地域に根差した取り組みは多岐に渡る。従業員数は、正社員・非常勤職員合計235人だ。
代表取締役の板井佑介さんは、「福祉従事者として、何のために、何を目指すのか。その指針があってこそ、ケアに技術が活かされるのではないでしょうか」と話す。
板井さんは、その指針が持つ力を「人間力」と称している。同社では2、3年程前から、管理職員を対象とした人間力を学ぶ研修を行っている。月に一度の全社会議に組み込まれた、約50分間の読書感想会だ。職員が読むのは、月刊誌『致知』。経営者やスポーツ選手など、様々な分野で一道を切り開いた人物の人生観や、生き方を紹介している雑誌だ。同誌に掲載されている記事を読み、感想文を書いて発表する。発表内容を受けて、良いと感じた点を職員同士で伝え合う。一人ひとりの思考力を高め、お互い自分自身にはない視点に触れることが目的だ。意欲的な職員もいる一方で、「面倒くさいと思いながら参加している職員もいるんじゃないかな」と、板井さんは苦笑する。
「自分自身がご利用者様にどのようなケアを届けたいのか考える力をつけることで、他の職員との関わり方などにも気に掛けることができるようになると思います」
介護の仕事はチームケアが要となる。チームの連携を強めるには、職員同士の信頼関係の構築が不可欠だ。仮に他の職員より技術力に長けた職員がいたとしても、どうしたら他の職員と共に成長していけるのか考え、歩み寄らなければチーム内に解離が生じるだろう。
「技術に長けた職員が、必ずしもご利用者様にとって心地良いケアを届けられるとは限らない。介護を通して何を目指すのか。その目的を実現する術が技術なんです」
研修によって人材の定着率は向上しているが、まだ事業所によって効果にばらつきがあるという。板井さんは、今後も管理職員の教育に力を入れ、会社のチーム力を最大限発揮できるよう邁進していくとした。今後の取り組みにも期待が高まる。