- 2025/03/04
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日本認知症グループホーム協会(新宿区、河埼茂子会長 ※「埼」は異体字の「たつさき」)は25日、「グループホームの防災を考える~災害教訓とBCPを手掛かりに~」をテーマとしたセミナーを千代田区で開催した。2019年の台風19号により被災した埼玉県のグループホーム(GH)で定期的な避難訓練をしていたことで迅速に避難できた事例を紹介。事業所の周辺にある山や川、海岸、建物などの位置から被害の状況を想定し、日頃から避難場所を設定しておくことなどを呼びかけた。
防災対策を専門としたコンサルタント事業などを行っている防災都市計画研究所(千代田区)の吉川忠寛代表が登壇し、GHの防災対策において入居者の避難誘導の遅れが課題であると説明した。
その上で、台風19号が発生した際に早い段階で避難指示を出したことで、安全に避難することができたグループホーム麦倉ひばりの里(埼玉県加須市)の事例を紹介。同GHは2つの大河川に挟まれており、洪水が起きた際の被害状況として10m以上の浸水が想定されていた。地域に台風が上陸した10月12日に事業所付近にある河川の水位が上昇していることを確認。翌朝には職員に入居者の昼食を早めに済ませて避難するよう指示を出した。昼頃には避難を開始し、河川から離れた安全な地区にあるGHに移動することができた。被災の2週間前に避難訓練を行っていたことから、入居者の避難誘導もスムーズに行われたという。
介護事業所は原則2023年度までにBCPを策定している。吉川代表は策定した計画を踏まえて「事業所がある地域から被災状況を想定し、避難場所や避難経路の設定、定期的な訓練を行うことが重要」と述べた。