- 2025/04/08
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厚労省も側面的支援
身寄りのない高齢者に対し、身元保証や死後事務などのサービスを提供する「高齢者等終身サポート事業者」の事業者団体が、今秋にも設立される見込みだ。3月26日に事業者4社からなる協会準備委員会が、厚労省の課長や学識者も参加する勉強会・意見交換会をオンラインで開催した。政府が策定した終身サポート事業者ガイドラインをもとに、利用者が信頼できる事業者を選択できる仕組みの構築を目指す。
生前に死後事務や身元保証人を引き受ける事業が始まったのは約30年前だが、これまで監督官庁や規制がなく、その実態は把握されてこなかった。総務省が22年に実施した調査では412事業者を把握している。
今後、近親者のいない高齢単独世帯が増加する中、こうした事業へのニーズが高まっていく。昨年6月に内閣官房を中心とした関係各省庁が「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を策定。これをきっかけに、有志の身元保証事業者が集まり、今年2月、事業者協会の設立を目指す準備委員会を発足させた。
協会の目的は、高齢者等終身サポート事業の健全な発展と、サービスの質の向上、適切な情報の提供。準備委員会メンバーは、株式会社OAGウェルビーR、一般社団法人献身会、一般社団法人しんらいの会、一般社団法人ライフエンディング・ステージあさひの4事業者。弁護士や学識者、研究者などの有識者4人にアドバイザリーボードに就任してもらい、助言も得ていくという。
3月26日にオンラインで開催した第1回勉強会・意見交換会では、協会準備委員会の黒澤史津乃委員長(OAGウェルビーR社長)が、高齢者等終身サポート事業の定義として、①身元保証サービスと死後事務サービスの両方を提供②本人との契約に基づくサービス提供③継続的に提供、の3点を挙げた。「身寄りなし」「おひとりさま」増加の最大の問題は、「誰が本人に代わって意思決定をするか」という点と指摘し、「自立期にそれを決めて契約しなければならない」と話した。「事業者が横でつながり理念を掲げ、ガイドラインをもとにしながら利用者が不安なく事業者を選択できる仕組みの構築を目指す」と強調した。
準備委員会の黒澤委員長
厚労省が側面的支援
準備委員会発足に向けては厚生労働省が側面支援を行った。講演した同省老健局認知症施策・地域介護推進課の吉田慎課長は、「2つの宿題事項」に言及。身寄りのない高齢者の死後事務などにケアマネジャーや介護施設の職員が対応せざるを得ない現状を把握し必要な対応を検討すること、優良な事業者を認定する仕組みを検討することを挙げた。認定制度のファーストステップは業界団体の設立と期待を寄せた。
準備委員会は今後も勉強会・意見交換会を開催し、協会設立に向けた準備を進めていく。