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オンライン空間でもデイサービスを! さわもと IT企業とタッグ 誰でも簡単に
  • 2025/04/30
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通所介護は「在宅で自立した日常生活を送ること」を目指し、機能訓練などを通じて社会的孤立感の解消や心身の機能の維持を目的に行われている。在宅生活を支える要である一方、中山間地域では送迎負担なども課題だ。高知県の中山間地域でデイサービスを運営するさわもと(高知県本山町、澤本洋介代表)は、全国どこからでも参加できる「オンラインデイサービス」を展開する。IT企業とタッグを組み、高齢者もストレスなく参加できているという。

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高知県本山町にある商店街の一角「本山まちなかチャレンジショップ」に7日、タブレット端末5台を備えたコンテナが設置された。さわもとが提供するオンラインデイサービスを実際に体験してもらうための空間だ。 

「『難しい操作は一切なかった』との声をいただいています。ぜひともたくさんの方に試してもらいたいですね」

代表の澤本洋介さんはそう意気込む。さわもとのオンラインデイサービスは、▽体操▽脳トレ▽合唱・音楽鑑賞など、リアルのデイサービスで行われるようなプログラムを平日4コマ(1コマ45分)で提供。介護保険外のサービスだが、週1回1コマ2980円(税込)から参加できる。

特徴的なのはそのシステムだ。プログラミングスクールなどを運営するTENTO(東京都北区、竹林暁代表)が開発した「noiz(ノイズ)」というオンライン会議システムを採用。Zoomなど既存の会議システムでは難しい同時・双方向の会話や、6人程度の小空間に分かれる「テーブル」という機能が実装されている。オンラインにもかかわらず、リアルを模倣した、まるでその場にいるかのような空間をとことん追求している。


小空間に分かれて体操などを行う

オンラインデイサービスの構想は4年ほど前。新型コロナウイルス感染症の流行により、デイサービスを一時休止した経験がきっかけだ。サービス休止による利用者の心身機能低下が懸念されるなか、感染症対策と機能維持の両立を目指し、離れていても参加できるプログラムを提供しようと2023年1月、デイサービス長老大学オンライン支店を立ち上げた。

しかし、高齢者がオンラインサービスを利用するにあたり、決まって課題となるのがICT機器の操作だ。実際、さわもとが既存のオンライン会議システムを用いてサービスを提供すると、高齢者がうまく扱えず家族のサポートが必要となるなどの課題に直面した。

「高齢者が複雑な操作を必要とせずとも、簡単に参加できるシステムが必要だと考えました」

TENTOのノイズのほか、県内IT企業のソフトビレッジ(高知市、片岡幸人代表)が開発したタブレットが自動で起動するアプリを組み合わせ、ストレスなく参加できるように改良した。今年の1月から3月にかけて、要介護を含む14人の高齢者に対して実証実験を実施。「簡単に参加できた」「離れて暮らす友人と一緒に参加できて嬉しい」など喜びの声が多かったという。

これを受け、今月から本格的にサービス提供を開始。現在は高知県本山町の体験スペースと併せて、全国どこからでも1カ月の無料体験を受け付けている。今後は高知県内の介護予防事業への提案や、中長期的には「保険適用化に向けて大学との共同研究などを模索していきたい」と澤本さんは話す。問い合わせはデイサービス長老大学0120・962・097。

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