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成年後見「終われる制度」に 法制審試案 後見人交代もしやすく
  • 2025/06/20
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判断能力が不十分な人の財産管理や介護サービスの利用契約などを行うための成年後見制度の見直しについて、昨年から検討を行ってきた法制審議会民法部会(法務相の諮問機関)は10日、中間試案を示した。一旦利用を開始すると、判断能力が回復しない限り終了できない現行制度を「終われる後見」に見直す。家庭裁判所が必要性がなくなったと判断すれば利用を終了できる規定を新設。後見人も、被後見人の利益のために必要な場合には交代できるようにする。今後、パブリックコメントを行った上で、さらに検討を行い、2026年の通常国会への民法改正法の提出を目指す。

最高裁によると2024年12月末時点の成年後見利用者は約25万4千人。「車の両輪」と位置づけられる介護保険制度のサービス受給者数(24年同月)が626万人であるのに比べると4%程度にとどまる。利用が伸びない背景として、制度の利用しづらさが指摘されていた。

現行法では、制度を利用開始すると、実際には被後見人が亡くなるまで後見人に報酬を支払い続けることになる。たとえば、遺産分割のために制度利用を始めて、分割協議が解決しても、利用者の判断能力が回復しなければ制度を終了できない。また、本人の状況変化に応じて後見人を交代することもできない。

こうした課題を受けて、部会では見直しに向けた検討を開始。このほどまとめた中間試案では、例えば後見開始の際に保護する必要を要件とする場合は、判断能力が回復していなくても保護する必要がなくなったと判断されれば、法定後見を終了できる案が盛り込まれている。(以下略)

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