- 2025/06/24
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中小企業が多数を占める介護業界では、人手不足や、コロナ禍による業績不振によって立ち行きが困難な小規模事業所が多い。国はサービスの質の担保や業務の効率化を推進しており、中小規模の事業所には協働化や大規模化も呼びかけられている。協働化の先行事例としては都内の在宅介護事業所らによって結成された「東京城南BASE.」などが挙げられる。
そんな中小事業所の協働化の試みが、東京都町田市でも始まった。「町田介護事業所協働ネットワーク(MNC)」は町田市の訪問介護事業所や居宅介護支援事業所らが2024年12月に立ち上げた団体。参画する4社が協働し、採用活動や業務効率の向上に取り組んでいる。
「国の方針は小規模事業所を排除し、大規模法人のみが生き残る仕組みになっていると感じます。ならば、地域の中小事業所同士で手を組み、業務を補い合って共に生き抜いていこう――と考えたんですよ」
MNC設立の立役者、訪問介護事業などを手掛けるポートエモーションの髙橋豊代表はそう話す。同社は、2014年に人材派遣会社として創業後、2022年に訪問介護事業所を開所。MNCを設立する以前は、自社の理念を理解した職員が少なく、人材定着率は低かったという。
設立後は、市内のハローワークなどでの説明会や、資格取得専門学校と提携し、訪問介護の職業体験会などを積極的に開催。「3月に開催した説明会後、一部の参加者が各事業所に入職し、働き始めていますよ」と髙橋代表は笑顔で話した。各社が人材を着実に確保できるようになったことで、休暇を取得する職員も増えている。
「事業所同士で頻繁に連携を取るようにしており、業務改善と効率化に努めています」
密に連携するようにしたことで、居宅介護支援事業所では、サービスが必要な利用者の受け入れ先を探す負担が軽減。訪問介護事業所では、利用者を募る営業業務の負担が軽減したという。
MNCでは、参画事業所の職員同士の交流を兼ねた法定研修会も開催している。経営層のみならず、職員も主体的に取り組むように計らうことを欠かさない。人材定着率の改善において、重要なのは「とにかく職員の困り事や不満に耳を傾け、やりがいを失わないよう徹底的に応えること」。それが経営者の役割だと髙橋代表は力強く話した。
髙橋代表