- 2025/07/04
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介護情報基盤との統合承認 介護保険部会
厚生労働省は6月30日、現在構築中の介護情報基盤と、ケアプランデータ連携システムを統合する方針案を社会保障審議会介護保険部会(菊池馨実部会長)に示し、概ね了承された。本格運用開始時期を2028年4月1日とする考えも初めて提案した。その際争点の一つとなるのが、ケアプランデータ連携システムのライセンス料だ。委員からは「統合までだけでなく、統合以降も無料としてほしい」と求める意見が複数挙がり、厚労省も財務当局と議論する姿勢を示した。
介護情報基盤は、利用者や市町村、介護事業所、医療機関などが利用者の介護情報を電子的に共有するための基盤。具体的には、要介護認定やLIFEの情報、ケアプラン情報、介護保険被保険者証情報、住宅改修費利用等情報を共有する。来年4月以降、情報基盤との接続準備が整った市町村から順次基盤へのデータ送信をスタートする。一方、全市町村が介護保険事務システムから基盤へのデータ移行を完了し、基盤の活用を開始する日は、検討事項となっていたが、同省はこの本格運用の開始時期を「2028年4月1日としてはどうか」と提案した。
ケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所と介護事業所とがケアプランの予定・実績情報のやりとりをオンライン上で行えるシステム。ケアマネの業務負担軽減につながるとして導入介護事業所数の増加を目指しているが、厚労省によると、今年5月末時点で全国の事業所利用率は7・2%にとどまり、昨年10月の6・2%から1ポイントしか増加していない。
このため、同システムを運用する国民健康保険中央会は、導入事業所の促進策として、今年6月から、介護事業者が負担するライセンス料2万1千円(年額)を1年間無料にする「フリーパスキャンペーン」を開始したところだ。
部会で厚労省は、情報基盤とデータ連携システムの統合を提案し、メリットを提示。介護情報基盤のウェブサービス上でケアプラン情報の閲覧やデータ連携を行えば、①事業所は各システムを行き来せずに、入力から連携までを一元的に運営管理でき利便性が向上する、②ランニングコストの軽減が見込まれる、③国は情報基盤とデータ連携の普及促進を一体的に実施できる――の3点を挙げた(図)。(以下略)