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遊歩道
  • 2025/07/18
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登山中に行方不明となった人を、公的機関による捜索が打ち切られた後に、家族などからの依頼を受けて捜索活動をする民間団体LiSS。代表の中村富士美さんが活動軌跡を綴った著書に衝撃を受けた。

捜索依頼のほとんどは初心者向けとされている低山や里山。登山道からわずか数十メートルの場所で白骨化した遺体を見つけた例も。山は例外なく遭難のリスクがあると思い知らされる。

この本の魅力は登山をする人以外に対しても教訓に溢れていることだ。わずかな情報から始める捜索に費やす気力と体力は気が遠くなるほど。その間、中村さんは家族の言葉にならない苦しみにも寄り添い続ける。家族がぽつりと話す本人とのエピソードが発見につながることは少なくない。

探しているのはモノではなく人。どんなに経験値を積んでも初心者目線を忘れない、という言葉は介護医療現場のプロにも忘れないでほしい。

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