- 2025/08/13
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SOMPOケア(品川区、鷲見隆充社長)は、介護事業者の協働化・大規模化を含む中長期的なサービス提供について、事業者がエリアごとに事業を担う「企業版地域包括支援センター」を提唱する。介護のリーディングカンパニーとして、鷲見社長に未来の介護業界と今後の展望を尋ねた。
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――全国的に中小介護事業者の経営悪化や倒産が相次いでいる。状況をどう見ているか。
「2024年度の介護報酬改定では、特に在宅や訪問介護の分野が大きな影響を受けた。当社でも訪問部門だけを切り出すと赤字になる改定だった。自社努力で総合的には持ち直しているが、業界全体にとっては厳しい局面だ。今後は、当社が蓄積してきたサービスのノウハウを他事業者にも提供し、収益改善の一助とする仕組みを模索している」
――M&Aによる事業規模拡大には限界もあるのでは。
「すでに多くの企業と一緒になってきたが、それでも市場シェアは1%ほど。仮に3割を目指すとするなら、80万人規模の職員が必要でまったく現実的ではない。だからこそ、自社ノウハウを横展開し、他事業者がそれを活用できるような『プラットフォーム化』が必要だと考えている。現場の生産性向上や職員の待遇改善にもつながるはずだ」
――中山間地域や離島などでは、中小介護事業者が支えている実情がある。国は協働化・大規模化を推進しているが、そのことについてどう捉えるか。
「確かに地方では、大手が進出しづらく、中小の事業者が地域を必死に支えているのが実態だ。大規模化という方向性自体は否定しないが、それを全国一律に進めるのは難しい。だからこそ、エリアごとに役割分担し、それぞれの事業者が強みを発揮できるような形、例えばA地区は当社、B地区は別の会社が担うといった『企業版地域包括支援センター』のような枠組みが有効だと考えている。競争ではなく、協働によって地域全体を支える仕組みが求められるのではないか」
――在宅サービスの展開にも地域差がある。
「首都圏、地方中核都市、中山間地域などではサービス提供のやり方が全く違う。特に地方では『お互いが支え合う仕組み』も求められる。当社としても、そうした地域に応じた形で柔軟に取り組んでいきたい」
インタビューに応じる鷲見社長