- 2025/09/19
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高齢者の生活を支えるケアの一つ、「排泄介助」。おむつの選び方や自立支援の方法など、一人ひとりの状態に合わせたケアが求められる。特別養護老人ホームノテ船橋(ノテ福祉会、対馬徳昭理事長)は、開設1年目の時点で毎月、おむつの購入費用は最大100万円、尿路感染症による入院者は5人以上に上っていた。しかし、フロアごとの排泄ケア状況を可視化し、入居者の排泄タイミングを把握したことで、現在の費用は3分の1以下に減少。入院者は0人を達成したという。
千葉県船橋市で2022年に開設した特養ノテ船橋では、介護職45人を含む80人の職員が働いている。入居者数は、ユニット型個室に50人、多床室に40人で計90人。加えて10人がショートステイを利用している。入居者の要介護度の平均は4程度だ。
「当初は多くの職員が、入居者一人ひとりに合ったおむつやパッドの種類を把握していませんでした。とにかく衣服やシーツへの汚染を防ぐため、多くの利用者に大きめのサイズのパットを使用。おむつ交換のタイミングも個別に決めていませんでした」
そう振り返るのは、施設内で中心となってケア改善に取り組む「排泄委員会」の委員長、湯浅麻衣子フロアリーダーだ。開設1年目に発足した排泄委員会は、各ユニットの代表職員やケアマネジャー、作業療法士、栄養士など、多職種が参加している。施設長の林翔磨さんは、自らも委員会メンバーとなり、取り組みを推し進めているという。
「職員たちには日頃から改善に取り組むよう呼びかけていたのですが、すべての職員に課題意識を持ってもらうことが困難でした」(林さん)
このままではまずいと林さんが始めたのが、フロアごとのおむつの使用率と、尿路感染症者の人数などを数値化した表を毎月掲示すること。数値から各フロアの傾向を分析したところ、使用率の高さが感染症者数に比例していることがわかった。(以下略)