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寄り添う介護スキルを発揮 こうほうえん オールジャパンケアコンテスト
  • 2025/10/21
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鳥取県米子市を拠点に介護事業を展開するこうほうえんらが主管を務める第15回オールジャパンケアコンテスト実行委員会は4日、全国の介護職員が技術を競い合うオールジャパンケアコンテストを東京ビッグサイトで開催した。高齢者の意思を尊重するケアや、意欲を引き出すスキルを多くの職員が発揮した。

競技種目は、認知症の高齢者に入浴やデイサービスに行く支度を促す「認知症」や、気力が低下している人におやつや水分補給を促す「食事」など。日頃の業務で培った技能や心構えを披露し、ケアの質の向上を目指す。

課題に沿って高齢者役を相手に10分間でケアを行う。内容は事前に職員たちに知らされており、事業所で準備をしてからコンテストに臨む。とはいえ、観客や審査員を前にすると緊張の面持ちを浮かべる人が大半だ。

午後の部の「認知症」は、グループホームを想定した課題だ。アルツハイマー型認知症の症状がある女性に対し、入浴準備を促すというもの。高齢者役の境遇にも細かい設定があり、「働きながら女手一つで一人息子を育てた経験があり、息子を溺愛している。『息子に電話をしてくれ』『家に帰る』などの訴えが頻回に見られる」という、介護現場ではありがちな困難事例が取り入れられた。

特別養護老人ホームの職員はむやみに入浴を促さず、「大切な息子に会いたい」という訴えを尊重。「綺麗な服に着替えて息子さんに会うために」と女性に寄り添った動機で入浴を促した。「息子に電話してほしい」という要望にも笑顔で応じる一方で、「今日は平日ですよね。息子さんは仕事中なんじゃないですか?」と事実をさりげなく伝えた。取り乱していた女性は「今、電話したら息子に迷惑がかかってしまう」と気づき、落ち着きを取り戻した。

「食事」で出題された課題は、認知症と廃用症候群を抱える男性に対する、移動・移乗介助と水分摂取など。介護付き有料老人ホームの職員は、意欲の低下によって表情が硬い男性に対し、歌を交えながら笑顔で穏やかに語り掛ける。車いすから椅子への移乗介助の際には「5秒だけ頑張りましょう」と認知症でも認識しやすい声掛けを行い、審査員から賞賛を受けた。

表彰式では、各種目の優秀賞と最優秀賞に選ばれた職員らに賞状とメダルを授与。コンテスト実行委員会主管法人の日本介護福祉士会・及川ゆりこ会長は「多くの職員が優しいまなざしで、声掛けも丁寧に行っていた。参加した自身を誇りに思ってほしい」と熱いエールを送った。


認知症の笑顔を引き出し受賞した職員(左)


受賞者たちの晴れやかな笑顔で締めくくった

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