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ケアマネ更新制廃止へ署名・要望活動が結実 全国介護支援専門員協会 成田聡代表に聞く
  • 2025/11/11
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厚生労働省が10月27日に示したケアマネジャーの「更新制」廃止案。昨年5月に更新制と更新研修の廃止を掲げて発足し、署名活動や各政党への働きかけ、厚労省への要望書提出などを展開してきたのが全国介護支援専門員協会(大阪府箕面市)だ。代表理事の成田聡氏は国の廃止案を概ね評価。一方で、ケアマネを増やすには収入引き上げが絶対条件と強調している。(太字は編集部)


――3千超の署名が集まっている。きっかけは。
「現行の更新制と更新研修は一体で、時間も拘束され費用もかかるのに研修内容が役に立たない。SNSなどではケアマネのそんな不満や批判が渦巻いていた。昨年春、軽い気持ちでオンライン署名のページを作ったら、あっという間に広がったのが始まりだ。
昨年5月にインターネット上で知り合った東かがわ市議会の山口大輔議員の仲介で、国民民主党の玉木雄一郎代表に直接面会し署名を渡した。国民民主は更新制廃止を衆院選挙の公約に掲げる予定にしていた。私たちの署名でひと推しができたのではないか。その他の野党各党にも働きかけた」

――更新制・更新研修反対の理由は。
「私をケアマネとして育ててくれた特に50~70代の先輩方がこの仕組みに苦しんでいたので、恩返しになればと思った。今回の厚労省案は、私たちの求めていた見直し。“1日でも休んだら更新不可”という状況はもうなくなる」

――研修自体は継続される見通しだ。
「 “ケアマネガチャ”と言われるように、自主的に勉強するケアマネもいれば、まったく勉強していないケアマネもいる。質を最低限担保するには、強制力のある研修は必要だ」

――研修内容は厚労省が今後詰めていく。
「私たちはすでに全国共通の研修と、市町村ごとの地域課題に即した研修の組み合わせを提案している。例えば、“移民問題が顕在化”など地域ならではの課題はグループワークで学ぶ一方、制度の知識など全国共通の内容はオンデマンドで学べるようにすればよい。これまで都道府県が研修を委託してきた機関もあり調整は難しいと思うが、真にケアマネのスキルアップにつながる内容に構築してほしい」

――ケアマネのなり手は増えるだろうか。
「更新制廃止でバケツの底の小さな穴はふさげるかもしれないが、報酬と責任の重さという大きな穴がほったらかしだ。根本的には収入を引き上げなければ、ケアマネになりたい人は増えない。ICT化で業務を効率化し、進化していくケアマネの年収中央値を600万円とするためには、基本報酬の引き上げが必須だ」


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