- 2026/03/24
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横浜市の小規模多機能型居宅介護クロスハート上郷・栄(社会福祉法人伸こう福祉会)では、利用者・地域の人・職員が分け隔てなく集う場づくりに取り組んでいる。施設長の林田尭之さんは「お互いに頼り、頼られる関係性を構築することが住み慣れた地域での暮らしを支えていく」と話す。
認知症の祖父と過ごした経験から19年前に介護の世界に飛び込んだ林田さん。施設やデイサービスでの勤務を経験した後、10年ほど前に現在働いている法人に転職したという。クロスハート上郷・栄を開設する以前も看多機や小多機で施設長を経験。地域に出向く活動の原点は、利用者の紹介を受けるために地域包括支援センターに足を運び続けた日々の中にあった。
「情報交換を重ねるうちに交流が深まり、地域包括支援センターと協働して、地域住民の熱中症対策のために給水所の設置に取り組みました。給水所で利用者さんや職員が近隣の人たちと交流する姿を見て、ここに集う人はみんな職業や立場も異なるけれど、同じ街で共に過ごす仲間だということに気が付きました」
介護事業所の活動を外に開き、地域全体でお互いに顔が見える関係を作ることが利用者の暮らしを長く支えることにつながると実感したという。
2025年6月に開設されたばかりのクロスハート上郷・栄。登録している利用者は22人で、要支援者も受け入れており平均要介護度は1・7程度。職員数は合計10人で、年齢層は20~40代と若い世代の人も活躍している。
事業所では毎月様々なイベントを開催。地域食堂や紙芝居など、その多くは職員が自主的に企画・開催しているというので驚く。入職3年目の松田七海さんは趣味の音楽活動を活かし、近隣の保育園でギターの演奏会を開いた。事業所のインスタグラムのアカウントでのライブ配信も同時に開催し、利用者も演奏会の様子を楽しんだという。
「現在は事業所で開催するイベントに園児が遊びに来たり、保育園が開催するイベントに利用者を連れて参加したり、密な交流が続いています。利用者さんも子供たちと過ごす時間を楽しんでいますよ」(林田さん)
そのほか、利用者と職員の顔写真と名前を印刷したカードの制作にも取り組んだ。
「同じカードを2枚ずつ作り、それらをテーブルに並べてみんなで神経衰弱をしました。お互いの顔と名前を覚えるきっかけになりますし、何より自分のカードを相手がめくってくれると嬉しいですよね。笑顔と会話が弾みます」と林田さん。今後は近隣に住むあの人やこの人のカードも作りたい。構想は膨らみ続けている。
利用者・職員・街の人々。カテゴリーの中に納まらず、お互いの化学反応を楽しむ気持ちが住み慣れた街での在宅生活を続ける鍵だと感じた。
自作の絵本やイラストで施設を彩る林田さん
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子供たちの前でギターを弾く松田さん(中央)

