- 2026/04/17
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スポットワーカーは「穴埋め要員」じゃない
空いた時間を利用して短時間・単発で働くスポットワーク。介護業界でも人手不足を解消する手立てとして市場が拡大している。しかし、人手が足りない業務の単なる穴埋めとして利用するだけでは、ワーカーに理念の理解や教育が行き届かない。ケアの質が担保できているかどうかが懸念点だ。スポットワークサービスを利用する介護事業所や、スポットワークサービスを提供する企業を取材した。
昨年6月の開所時から介護や看護の有資格者向けの単発アルバイトを提供するサービス「カイテク」などのスポットワークを利用している横浜市の小規模多機能型居宅介護クロスハート上郷・栄(社会福祉法人伸こう福祉会)。人員不足を補うためではなく、ワーカーを長期雇用につなげる採用活動の一環として活用している。施設長の林田尭之さんは「業務を行う職員との同行を通して小多機というサービスや事業所の魅力を体感してもらうことで、理念を共有できる仲間を集めてチームを強くしています」と話す。
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クロスハート上郷・栄の利用者は22人。要支援者も受け入れており平均要介護度は1・7程度。職員数は合計10人で、このうち5人は実際にスポットワーカーから長期雇用につながった職員だ。
「開所当時は職員数も少なかったが、スポットワーカーの手は借りずに自分が出勤することで夜間帯などの人員不足を補っていました」と振り返る林田さん。その選択をした理由は、ケアの質を第一に考える姿勢にあった。
「例えば、毎回知らない職員に入浴や排泄の介助をされるのは誰だって嫌ですよね。いくら人手が足りなくても利用者さんの自尊心を傷付けてしまうようなことはできませんでした」
利用者が自分でできることは自身の力で行い、地域の人々とも協力し合うのがクロスハート上郷・栄の方針。現在は、利用者の自立を促進し、地域の力を借りても人手が足りない際は法人内で他事業所の職員が臨時でサポートに入り、不足を補っている。
カイテクでは1人のワーカーにつき日給の30%分の手数料をカイテクに支払うシステムになっている。「決して安くはない」。そう言いながらも開所から約10カ月経過した今、利用回数は合計で144回に上る。
「人材紹介会社を利用して高額な手数料と引き換えに人材を確保したはいいものの、入社後にミスマッチが起きて早期離職されてしまうケースは他の事業所でも多いと思います。スポットワークであれば、求職者側は実際に現場を体験することができ、事業所側は求職者が職員と共に働いている様子を見てから採用を決めることができるというメリットが大きいです。お互いの希望のすり合わせもしやすく、着実な採用活動につながります」
「現場体験」として4時間勤務の求人を募集し、小多機や事業所ならではの魅力を知ってもらうため、ワーカーには訪問サービスへの同行や地域に出向くイベント活動などに参加してもらう。体験の中では利用者とコミュニケーションを取ってもらうことを重視している。
「自身の介護スキルを活かして働きたい人や収入を稼ぎたい人などにとっては物足りないかもしれませんね。だからこそ、時給は最低賃金で設定し、理念を綴ったウェブサイトの閲覧を応募条件として定めるなど、ワーカーと事業所のお互いの目的のミスマッチを防ぐ工夫を徹底しています」

