- 2026/04/28
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今年度は、2027年度介護報酬改定に向けた議論が本格化する。焦点の一つが、前回改定で基本報酬引き下げの対象となった訪問介護だ。一般的に「効率的」とされがちなサービス付き高齢者向け住宅併設型の現場を取材すると、見えてきたのは単純な収支比較では測れない実態だ。
ココファン海老名(学研ココファン)は入居者75人のサービス付き高齢者向け住宅。訪問介護事業所・ココファン海老名ヘルパーセンターはサ高住に併設されており、うち41人が訪問介護を利用する。平均要介護度は2前後と軽度の利用者が中心だ。自立支援の考えのもと、利用者のできることを一緒に続けながら生活機能を維持する点を重視している。
ココファン海老名ではサ高住のスタッフがホームヘルパーを兼任しており、介護職員は18人。併設型の訪問介護事業所は移動がないため楽に回れると思われがちだが、現場の実感は必ずしもそうではないという。
「自転車で一日中回るようなことはありませんが、地域の方からの訪問介護も受けています。また、サ高住内の訪問は移動時間が少ない分、サービス提供の間隔が短くなりがちです」
そう話すのは、ココファン海老名の大垣勝敏事業所長。併設型の訪問介護事業所ではサービス間の間隔が短く、1日7~8件を連続して回るなど業務が詰まりやすい課題があると話す。
さらに、課題となるのが訪問介護と住宅サービスの切り分けだ。介護保険制度上は訪問介護のサービス提供範囲が明確に示されており、「掃除の延長で買い物に付き添ってほしい」など、保険外のサービスを求められる場面があっても応じることはできない。ココファン海老名ではサ高住の職員がヘルパーを兼任しているため、利用者が職員と顔を合わせる際に線引きの説明に苦慮するケースも多いという。
「ケアマネでも大きな課題となっていますが、業務の線引きを職員・利用者ともに理解してもらうというのは、うちの事業所として現状の課題ですね」(大垣事業所長)
2024年度の介護報酬改定で強化された同一建物減算については、「実感しづらいが確実に影響がある」(小林宏彰執行役員)。学研ココファンのような大手では全国にサ高住を展開しており、事業所単位では月数万円程度の減算と数値上は埋もれやすい。しかし、年間では1事業所当たりでも100万円規模の減収となり、さらに法人全体で見れば打撃は小さくなく、決して無視できない水準となる。
また、現場では依然として人手不足が最大の課題だ。ココファン海老名でも、周辺で住宅型有料老人ホームなどの開設が相次ぎ、採用環境は厳しいという。学研ココファンの小林執行役員は「同一建物減算については、移動コストがかかっていないという前提の減算なので、苦しいですが致し方ないのかなと思います。経営の安定や人材の確保という側面からも、やはり基本報酬のアップが必要なのではないでしょうか」と提起する。
併設型は効率性ばかりが強調されがちだが、入居者の生活を24時間支える重みも伴う。「移動がないから楽というわけでは決してない。生活全体に関わるという責任があります」(小林宏彰執行役員)。現場の声は、単純な収支比較では捉えきれない訪問介護の実像を示している。
ココファン海老名の大垣事業所長(左)、ココファン伊勢原の大館事業所長(中央)、
学研ココファンの小林執行役員(右)
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ココファン海老名は、海老名駅から徒歩10分の場所にある

