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有料老人ホーム見直し 入居者保護で規制強化へ 有老協「現場や入居者への影響を懸念」
  • 2026/05/22
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現在、国会で介護保険法や老人福祉法の改正案が審議されている。この中には、有料老人ホーム等に関する規制の見直しとして登録制や更新制が導入され、特に中重度や医療的ケアが必要な要介護者が入居する住宅型有料老人ホーム(以下、住宅型ホーム)への影響が想定される内容や、登録制の対象となる有料老人ホームの入居者を対象に、ケアプラン作成と生活相談が一体となった「登録施設介護支援」の創設が盛り込まれている。事業者団体は、過度な規制により入居者が不利益を被る事態に陥らないよう、丁寧な運用を要望している。

今回の制度改正の目的は「入居者の保護」「囲い込み対策の強化」だ。一部の有料老人ホームで入居者のケアプランを同一法人の併設・隣接する事業所に限定し、自法人のサービスを過剰に提供する運営が問題視されていることや、住宅型ホームの入居者が中重度化して住まいよりも施設に近い役割を果たしていること、ずさんな経営事例など届出制による指導や規制に限界があることに対応する。更新制を導入し5年ごとに登録を更新。併設事業所の利用を入居要件とする行為や、担当ケアマネの変更を求める行為も禁止する。


「現行の届出制ではサービス内容や体制が外から見えにくい。入居者保護やサービスの質の担保の観点から、入口段階で要件確認を行う仕組みが必要という考え方は理解できる」と全国有料老人ホーム協会の渡邉潤一常務理事は改正内容に一定の理解を示す。

ただ、登録制は、現行は明確な基準がない住宅型ホームに新たに基準を設けるもので、「実質的に参入や事業継続のあり方に影響を及ぼし得る仕組みで、財務・人材面で体力のある事業者だけが残る構造になることを懸念する」と過度な規制強化を警戒する。

登録制の対象となる「中重度以上の入居者」は、「要介護3以上」が基準となりそうだが、渡邉氏は、「実際の運営では、要介護度の上昇に応じて一律に退去を求めることは現実的ではなく、要介護者が入居できるホームはほとんど対象になると見ている」と予測する。

また、登録制の基準については、「特定施設の基準をそのまま当てはめるのではなく、住まいである住宅型ホームの特性を踏まえた合理的な基準にすべき」と訴える。「夜間を含めた職員の常時配置や一律の人員配置を求めるような基準となれば、人材不足や人件費負担から地方の施設は継続できなくなる。外部の医療・介護事業者との連携や、緊急時対応などの体制で評価すべきだ」。

国は、5月15日の衆院厚労委員会で、「現行のホーム指導指針を遵守しているホームにとって過度な負担とならない水準とすることを想定している」と答弁している。

新設される登録施設介護支援は、現行の特定施設との均衡の観点から、ケアプラン作成と生活相談をセットで定額報酬として、原則1割の利用者負担を求める方向だ。

この新類型について、渡邉氏は大きく3つの課題があると指摘する。

1つは、設計によって結果的に併設・隣接事業所の利用が増え、「囲い込み」と受け止められかねない構造になる点だ。

ケアマネ事業所を併設・隣接している住宅型ホームは囲い込みを行っているように思われがちだが、外部のケアマネ事業所を中心に利用しているホームも少なくない。制度改正後も継続してケアマネジメントを提供してもらうには、そのケアマネ事業所が登録施設介護支援の指定を受ける必要がある。入居者からの集金業務も発生する。そうした負担を嫌って指定を受けないケアマネ事業所が多くなると、ホーム側は別にケアマネジメントを提供してくれる事業所を探さなくてはならず、見つからなければ併設・隣接事業所を使うしかないが、「単にそれをもって囲い込みと評価するのは適切ではない」と指摘する。(以下略)

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