- 2026/05/26
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生産性向上の先へ!
介護現場の生産性向上などで優れた取り組みを行ったとして、昨年8月に内閣総理大臣表彰を受賞した特別養護老人ホームもくせい(社会福祉法人北養会)。働きやすい職場を施設が一体となってつくる風土を築き、現在は新たな取り組みとして介護職員のユニフォームの改良に挑戦している。施設長の伊藤浩一さんは「異業種と関わりを持つことで、職員が介護職の専門性を強く自覚し、自信をつけています」と話す。
2008年に水戸市で開所し、平均要介護度4の入居者70人の生活を支えているもくせい。総勢42人の介護職員の中では20代職員が約半数を占める。4年前から職員の不満に耳を傾けることを重視し、シートセンサー型見守り機器の活用法を見直すことで夜勤の負担を軽減。日中業務の生産性向上にも成功し、職員の働きがい向上のために異業種との協働にも挑戦している。
ユニフォーム製作は「人手不足の業界だからこそ働き手に選んでもらえる介護施設になりたい」という伊藤施設長の思いから、生産性向上の取り組みと共に始動した。
「従来の介護事業所のユニフォームは動きやすさを重視したものが多く、『ダサい』イメージを持つ人も少なくありません。若い世代の人々に着たいと思ってもらえるものを作りたい。同調してくれた職員と共に立ち上がりました」(伊藤施設長)
そこで、水戸市発祥のアパレル企業アンドエスティHD(渋谷区、福田泰生社長)に共感し、協働の話を提案した。
伊藤施設長や職員の皆さんの思いに感銘を受けたという、アンドエスティHDの特例子会社WeOur(渋谷区、高橋朗社長)の事業開発部マネジャー大谷知加子さん。
「私たちはすべての人が当たり前にファッションを楽しめる社会の創造を目指しており、双方の思いが共鳴したことがタッグを組む決め手になりました」(大谷さん)
手始めに、今着用しているユニフォームであるポロシャツとチノパンの不便な点について全職員に聴き取りを実施。生地の耐久性が足りないことや、胸ポケットが小さくペンや小物を入れると屈んだ際に落としてしまうなどの意見が集まった。
2023年に第1弾のユニフォームを製作。耐久性がありながらも薄くて軽い生地に生まれ変わり、胸ポケットにはファスナーやペンを刺せるパーツもついた。その後も改良を重ねて今年5月1日、第2弾が完成。以前はピンクと黄色だった色もネイビーとモカに刷新した。製作に参加する職員の一人、田中芽衣さんに実際に着て働いた感想を尋ねた。
「機能性が上がり動きやすくなったことはもちろんですが、色とデザインがシックになったのが嬉しいです。入居者さんやご家族、友人からもかっこいいねと言ってもらえました」(田中さん)
業務時間の合間に取り組んでいるという職員たち。業務への支障はないのだろうか。田中さんと共に携わっているユニットサブリーダーの柴沼仁美さんは「現場の生産性が向上したことで、業務外の取り組みにも余裕をもって参加できるシフト体制になり、負担なく働くことができています」と話す。それどころか、異業種との関わりが介護職としての自信向上につながっているというので驚く。
「WeOurの方々から学ぶことも多い一方で、介護職として入居者さんの意思を尊重する姿勢を褒めていただいたこともありました。介護のプロとして胸を張れる仕事ができていると実感して、誇らしく感じました」(田中さん)
柴沼さんも意欲が向上。「今、入居者さんに向けて福祉ネイルを施術する活動をしているので、今後は福祉美容の資格を取りたいと思っています」(柴沼さん)
職員一人ひとりが一つになることで成し遂げた生産性向上やユニフォームの改良。
「職場を変えたいという思いを持つ人が中心となって動くよう後押しすることで、施設全体が同じ方向を目指すことができます」(伊藤施設長)
伊藤施設長(右から4人目)とWeOur大谷さん(同5人目)
右から新ユニホームを着用した田中さんと柴沼さん

