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組織一丸でカスハラ対策を 医療・介護を受ける人と担う人のナーシングカンパニー 山﨑和代代表
  • 2026/07/14
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職員の安全は利用者の安心に

在宅介護現場のカスタマーハラスメントが絶えない。介護労働安定センターが2023年に実施した調査では、過去3年間で利用者や利用者家族によるハラスメントが発生した訪問介護事業所は約4割に上るという結果だった。兵庫県の西宮市社会福祉事業団の訪問看護センターで所長を務め、県の介護現場におけるハラスメント対策のマニュアル策定などに携わった山﨑和代さんは「現場や職員個人にカスハラ対応を任せるのではなく、組織として防止対策を徹底する姿勢が重要です」と主張する。

2001年から22年間に渡り、西宮市社会福祉事業団の訪問看護センターで所長を務めた山﨑さん。17年度からは兵庫県の「訪問看護師・訪問介護員等安全確保・離職防止対策事業」に携わり、ハラスメント対策の促進に貢献した。その後23年に独立し、医療・介護を受ける人と担う人のナーシングカンパニー(兵庫県西宮市)を創業。訪問看護事業のほか、県内外でハラスメント対策研修を実施している。

取り組みを始めた経緯を尋ねると「訪問看護の現場で利用者からの暴言・暴力が起きており、それをなんとかしたいと考えた訪問看護師を中心とした有志の会の活動を始めたのがきっかけでした」と話す。弁護士・ケアマネなどと協力し、県内の介護事業所を対象としたカスハラに関する調査を実施すると、利用者からセクハラや暴言を受けたという声が多くの事業所から寄せられた。

「介護業界ではベテランになるとカスハラを上手くかわすことができるようになり、ハラスメントへの感度も鈍くなりがちです。しかし、社会福祉事業団の訪問看護職員からも調査結果と同様の声が挙がり、県や組織を挙げて対策すべきだと思い立ちました」

県の事業に携わり、在宅介護・医療現場のハラスメントについて研究を行う関西医科大学の三木明子教授との意見交換などを経て、研修の進め方を学び実践してきた。現在は自法人や全国の介護現場に向けて研修・指導の普及を進めている。

高齢者の中には認知症や精神疾患をもつ人も多く、症状が暴言や暴力などとして表れることも。「そのため、職員は拒否することに罪悪感を抱きやすく、ハラスメントを認識しにくい状況が生まれやすい」と山﨑さん。利用者自身が過度な要求をしている自覚がないケースも多く、発生要因の一つになっているという。

「相手が病気だから仕方なく暴力に耐え続けた結果、職員が死亡したら『仕方ない』と考えることはできないはずです。職員に非がなく、社会通念の範囲を越えた行為を受けた場合はきっぱりと拒否する。法人・組織全体で『ハラスメントは許さない』という意識を共有し、対策を徹底することが肝心です」

法人全体でハラスメントに当てはまる行為の理解を深めることはもちろん、経営陣の意識の見直しも重要だ。利益を優先するためにハラスメントに対処せず、サービス提供を続行するケースも少なくない。

「カスハラを放置したことで職員が退職してしまうと、サービスを受けている他の利用者にも不安や負担が発生します。契約解除のリスクも高まり、本末転倒です。経営陣の方々には、現場から対応を引き取り、法人としてカスハラに対処するよう呼びかけています」

職員においては、その場でカスハラを拒むことを習慣づけてほしいという。

「研修では、利用者宅でハラスメントを受けている場面を想定し、利用者役を相手にロールプレイを行います。例えば、クレームの対応で時間を拘束された際は自身の非をしっかりと詫びたうえで、一定の時間が過ぎたら『次の訪問予定があるので失礼いたします』と伝えて退出するなど、業務妨害にあたる行為を断るスキルを身に着けます」

研修の受講以外にも日頃からできる工夫はたくさんある。利用者一人ひとりを複数人の職員で担当する体制づくりや、利用者の疾患症状がハラスメントの要因ならば、医師などの他職種と連携して対処することも一つの手だ。

「職員だけでなく利用者の生活を守るため、誰もが一人で抱え込むことがない環境づくりを全国の介護事業者の皆さんと一緒に考えていきたいです」

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