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デイにも特別地域加算を 老施協「制度と現場の矛盾解消」
  • 2026/09/01
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65歳以上の高齢者数が急増する2040年を見据えた介護報酬改定が来年に迫っている。政府は、加速する高齢化と人材不足に備え、介護業界に事業の大規模化や事業者同士の連携を求めている。しかし、全国老人福祉施設協議会(老施協、千代田区、大山知子会長)でデイサービスなどの在宅サービスを統括する波潟幸敏氏は、中山間地域を中心に事業の縮小や事業所の閉鎖に追い込まれるデイサービスが少なくないとし、「次期改定では、地域の実情に沿った制度の再設計が欠かせない」と主張する。(1面に関連記事)


波潟氏

波潟氏は、デイサービスにおける課題は地域や法人の規模・種別によって異なるため、一律に論じることはできないとした上で「事業者と介護保険制度のそれぞれが抱える問題が複雑に絡み合っている」と強調する。

「18年以降の低調な収支差率で、経営環境の変化に対応する余力が失われている事業者も多く、さらに中山間地域と都市部には収益構造に大きな差がある。中山間地域では1日の利用者数が15~20人規模の事業所が大半で、固定費の負担が大きく収入が少ないケースが多い。豪雪地帯では送迎のコストも割増だ」

個々の事業者の経営努力だけで解決することは困難であることを踏まえ、27年度介護報酬改定に向けて▽特別地域加算の適用サービス拡大▽基本報酬における送迎費用の見直し▽利用者急増への対応策の3点を提言する。

特別地域加算とは、人口密度の低さや交通手段が乏しいなどの理由で、介護サービスの確保が著しく困難であると認められた地域の事業所を経済的に支えるための加算だ。対象となるサービスは、訪問系・居宅介護支援が中心で、通所系サービスは適用外となっている。

26年度の老施協による試算では、豪雪地帯とそれ以外のデイサービスでは送迎費用に年間約13万円の差が生じる結果に。冬季の送迎にかかる時間についても豪雪地帯のほうが顕著に長い傾向にあった。

「厚生労働省は『2040年に向けたサービス提供体制等のあり方』検討会で、地域の特性に応じた報酬体系を設定する方向性を示している。対して、通所系だけが適用外であることはその指針との矛盾につながる。特別地域加算の適用については過去2回の介護報酬改定時にも主張し続けてきたが、次期報酬改定でも強く求めていきたい」

基本報酬に含まれている送迎にかかる費用についても指摘する。送迎費用は、介護保険制度の創設時は加算で評価されていたが、06年度介護報酬改定で基本報酬に含む扱いに。その後、15年度改定以降は送迎を実施しない場合は減算(片道47単位/日、往復94単位/日)する仕組みとなっている。

「基本報酬に含まれるようになってから現在までの20年間、減算の単位数は一度も見直されていない状況だ。老施協の試算では、送迎収入(利用者数×47単位)から人件費・車両費を差し引くと、1事業所あたり年間約100万円の赤字になることがわかった。介護職員の給与ベースで考えると、片道8~9単位が不足している。その分を基本報酬に上乗せし、送迎を行わない場合の減算を47単位から約55単位に引き上げるべきだ」

また、通所系サービスの介護報酬は、利用者数の増加によって事業所の規模が拡大するほど低い単位になる、いわゆる「大規模減算」を適用している。

大規模減算の減算単位は事業所規模により3区分に分かれている(表)。利用時間が7時間以上8時間未満の利用者(要介護度2)を基準とした各区分の基本報酬は▽通常規模型(利用者数月750人以内)は777単位▽大規模型Ⅰ(利用者数750人超900人以内)は744単位▽大規模型Ⅱ(利用者数900人超)は716単位。対して、利用定員18人以下の地域密着型通所介護の890単位と、大きな差がある。単順に事業規模の拡大を目指して黒字を追いかけると思わぬリスクを負うことになりかねない。

「地方では近隣のデイサービスが閉鎖した際に残存している事業所が利用者を受け入れると、大規模減の対象となり、数百万円単位の減収が発生するケースもある」と波潟氏。急な利用者増への対応が急務であることを裏付ける。

「地域の介護基盤を守ろうとする行動が制度によって疎外されるのは本末転倒だ。生産性の向上や事業の発展を求めるならば、現場の実情に沿って制度の仕組みを再構築することが不可欠だ」

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