- 2026/09/29
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日本介護福祉士会の会長に今年5月、今村文典氏が就任した。介護人材不足が深刻化する中、介護福祉士には現場の中核的人材として、ケアの質の確保や後進育成など幅広い役割が期待されている。2027年度介護報酬改定に向け、介護給付費分科会の委員も務める今村会長に、就任後の抱負や介護福祉士の専門性や課題などについて聞いた。
今村氏
――会長就任に当たり、今後の活動方針は。
「介護福祉士は一人ひとりの尊厳を支える専門職であり、大きな使命を担っている。まずは介護福祉士自身が誇りを持って働き続けられる環境をつくりたい。
特に重要なのが専門性を高めることだ。資格取得をゴールとせず、継続的に学び、経験や役割に応じて成長できる仕組みが必要になる。後輩を育成し、チームの中で専門性を発揮できる環境も整えていかなければならない。
同時に、その専門性が適切に評価される仕組みも必要だ。資格や経験、役割が処遇やキャリアにつながり、『介護福祉士だからこそ』と認めてもらえるようにしたい。人を育てること、専門性を高めること、それを適切に評価することは一体的に進める必要がある」
――人材不足が深刻化する中、ケアの質をどう確保するか。
「人材確保は喫緊の課題だが、人材の確保を進めること、ケアの質を確保することは両立させなければならない。
そのためにはテクノロジーの活用をはじめ業務の整理、チームケアの推進に加え、介護福祉士が後輩を育成する仕組みも必要だ。介護現場で働く人が『この仕事を続けたい』と思える環境づくりにも介護福祉士が中核的に関わるべきだ。人材確保、処遇改善、生産性向上、専門性の確保を一体で進める必要がある」
――介護福祉士国家試験ではパート合格が導入された。
「働きながら介護福祉士を目指す人にとって、資格取得への挑戦を後押しする制度だと思う。一方で、資格取得に挑戦しやすい仕組みとすることと、国家資格として求められる専門性を確保することは両立させなければならない。
大切なのはパート合格そのものを問題にすることではない。その後の教育や研修、現場での実践を通じ、必要な知識、技術、倫理観を確実に身につけてもらうことだ。介護福祉士は国民から信頼されるべき国家資格だ。試験制度だけでなく、資格取得の前後を通じた継続的な学びの仕組みを充実させる必要がある。まずはパート合格制度導入の効果が出てくる今年度試験を注視したい」
――介護福祉士養成施設卒業者に対する国家試験義務化の経過措置が、再び延長された。
「極めて残念だ。国家資格への信頼という観点からも、資格取得方法は国家試験に一元化すべきだと考えている。今回の延長を最後とし、次こそ確実に一元化してもらわなければならない。
ただ、決まった以上は、今回延長された期間を単なる経過措置として過ごすのではなく、専門職として必要な知識や技術、倫理観を身につけ、国家試験合格に向けて学びを重ねる期間としていくことが重要だ。事業所も『5年間働けばいい』と考えるのではなく、『来年度は合格しよう』と後押しする環境を作ってほしい。人材確保と資格の信頼性は、どちらか一方を選ぶ話ではない」
――外国人介護職員が増えている。ケアの質をどう高めていくべきか。
「介護の質が国籍で決まるとは全く思っていない。外国人材の中にも、高い専門性を身につけ、現場の中核として活躍している人が増えている。実際に役職に就く外国人材もいる。日本人でも外国人でも、必要な知識や技術を身につけ、利用者の尊厳を大切にすることに違いはない。
言語や文化の違いはあるが、本人の努力だけに委ねてはいけない。教育やコミュニケーション、相談体制を職場として整えることが必要だ。ただし、外国人だからと分けるのではなく、日本人も同じように学べる環境にすることが大切だ。共に学ぶ教育体制をつくることが、チーム全体の質を高めることにつながる」
――27年度介護報酬改定で重視すべき点は。
「持続可能な介護の基盤を確保するには、やはり基本報酬を引き上げるべきだ。処遇改善も重要だが、その原資を出すには事業所の経営が安定していなければならない。
特に訪問介護は重要なインフラだ。人口減少地域ではヘルパーが不足し、事業が成り立たなくなっているところもある。訪問では、サービス提供に不可欠な移動時間や移動に伴うコストが十分に評価されているとは言い難く、利用者のキャンセルなど、在宅サービス特有の経営上の課題もある。こうした在宅サービス特有の負担についても、報酬上適切に評価する必要がある。一律に整理するのではなく、国にはそれぞれの現場の実態をしっかり把握した上で議論してほしい」

