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身寄りない高齢者支援の新事業 都内社協、担い手として模索
  • 2026/10/20
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ニーズ増、人材確保など課題も

今年6月、改正社会福祉法が成立し、頼れる身寄りがいない高齢者等の支援を充実した第2種社会福祉事業が2028年6月までに創設されることになった。主な担い手として想定するのは各地の市区町村社会福祉協議会だ。早くから必要性を感じて単身高齢者への入院や死後事務の支援を行っている都内の社会福祉協議会は、求められる役割に応えようと模索している。

東京都練馬区は、「終身サポート事業~そなえ・あんしん365」という独自事業を今年4月から開始している。区社会福祉協議会の権利擁護センター「ほっとサポートねりま」が実施。社協職員による月1回の電話や訪問による見守り、死後の手続きの「基本サービス」と、入退院時の付き添いや、賃貸住宅の契約手続きなどのサポートをする「選択サービス」を行う。対象は、身近に頼れる親族がいない、または親族がいても疎遠な高齢者や障害者。契約能力はあることが条件だ。一定所得以下の区民が対象で、預託金と公正証書遺言書の作成が必要になる。

区がこの事業を実施した背景には、24年度に同センターに設置した「終活相談窓口」に、区民から死後や入院・入所に対する不安が多く寄せられたことがある。今年4月に事業を開始したところ、相談窓口には、3カ月で多くの相談があった。所得や資産がある区民からの相談や、「身元保証をお願いしたい」という内容も含まれていたが、それらは事業の対象外だ。

そこで区は、事業対象外の区民も必要な支援につなげるため、7月に、区社会福祉協議会と、終身サポート事業を実施する事業者団体2団体との包括連携協定を締結した。

協定を結んだ全国高齢者等終身サポート事業者協会(全終協)と、全国高齢者支援団体連合会は加盟事業者の事業の質をチェックする機能を持っている点が、選定の決め手になったという。

「『そなえ・あんしん』の事業範囲には該当しない区民に対して、『社協ではできません』と言うだけでなく、他の選択肢を提供する意味で、事業者団体に『つなぐ』形を想定しています」と区福祉部管理課の渡邉慎課長は説明する。

「そなえ・あんしん」の相談者はどのような区民か。「70代くらいの独居の方が多いですね。自分が死んだあと、葬儀や財産のことを誰に頼ればいいのか心配されて相談に来られます」と、ほっとサポートねりまで専門員として相談にあたる中川理代さんは話す。

今後、単身高齢者の増加に伴い終身サポートに関する相談は増えると予想される。区は今年度から権利擁護センターに常勤職員2人を増員。「そなえ・あんしん」だけでなく、日常生活自立支援事業、終活相談、成年後見制度などの相談支援事業に対応してもらうためだ。

一方、東京都市部で長年、終身サポート事業を実施してきたのが府中市社会福祉協議会だ。「あんしん支援事業」も、見守りを基本に、入院・入所時や葬儀・埋葬の手続きなどの支援を市社協が担う。収入・資産は問わないものの、預託金として最低100万円程度必要になる。

創設したのは2012年度。地域福祉権利擁護事業や成年後見制度の対象にはならないが、入院・入所契約に支援が必要なケースへの対応について、市の担当課長や高齢者支援担当、4カ所の地域包括支援センター長と市社協で検討を行い、1年間かけて事業を構築した。

25年度の同事業に関する相談は延べ199件。これらを受けて権利擁護センターふちゅうでは、必ずしも同事業だけでなく、現行の日常生活自立支援事業や、センターが中核機関を務める成年後見制度、終活の一環として実施する老い支度カレッジなどの支援メニューの中から、必要な事業につなげる。その結果としてあんしん支援事業の契約者は、昨年度末は7人。近年概ねこの前後で推移しているという。

こうして、これまで独自に実施してきた事業が、今般の社会福祉法の改正で制度事業となる。

福祉サービスの利用援助や日常の金銭管理などを提供する「日常生活自立支援事業」(以下、日自)について、改正法では対象者を「頼れる身寄りがいない高齢者等」にも拡大。事業内容に、入院入所時の手続き、葬儀や家財処分などの死後事務の支援を追加。十分な資力がないなどの資力要件に該当する対象者は無料か低額で利用できる。28年6月までに施行予定だ。

課題は担い手の確保だ。

新事業の実施主体は、日自と同様に都道府県社協。各市町村社協が委託を受けて実施するとしているが、民間事業者やNPO法人も実施できることになっている。担い手を増やす狙いだ。

ただ、一定所得以下の利用者に対しては「無料または低額」での実施が要件となるため「収益性」はない。この「資力要件」をどう設定するかによって、利益が出る形で運営できるかどうかが決まるが、まだ要件は示されていない。民間の終身サポート事業者も、国からの補助も予定されていない現状では、参入は多くないと見られている。

練馬区社協権利擁護センターの千葉三和子所長は「社協職員だけですべての事業を担うのは難しいので、地域でどう担い手をつくるかを検討するのがポイントとなります。区民からも社協につないでいただいたり、私たちも日常的な支援が必要なケースは地域包括支援センターに相談したり、お互いが連携し合う体制が必要だと考えます」と展望する。

権利擁護センターふちゅうの宮本敬太係長は、「判断能力の低下した高齢者に生活保護のケースワーカーと協力して対応するケースに、民間事業者がどこまで対応できるかは未知数です。基本的には社協が担い、そうした支援を得意とする社会福祉法人が参画するイメージではないでしょうか」と予想する。

新事業の詳細は国で検討中だが、府中市は施行に向け準備に動き出す。センター内で、「新たな日常生活自立支援事業」「あんしん支援事業等身寄りのない高齢者等に関する事業」「成年後見制度改正」の3つの検討チームを設置して、情報収集と対応、既存事業との整合性などを検討する方針だ。

現実には区市町村の財政力などに応じて実施内容に地域差が生じる恐れもある。

練馬区福祉管理課の渡邉課長は、「民間の参入も含めて社会福祉事業化するというのですから、全国どの市区町村でも一定レベルの事業が実施できるように、事業費を予算化して支援するのが国や都道府県の責務だと思います」と指摘している。


練馬区・渡邉課長


区民の相談に対応する中川専門員(写真右)。相談件数は増加している。


府中市は長年頼れる身寄りがいない市民を支援

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