タイトル

町役場と地域アプリを共同開発 徳島発の新しい自立支援の試み(前編)
  • 2024/05/14
  • バックナンバー
  • 最新ニュース

私たちの生活にもはや欠かすことのできないICT機器であるスマートフォン。通話、決済など普段の用途はもとより、訪問介護や施設介護での記録、通信など、業務用としても幅広く使われるようになった。徳島県で訪問介護、デイサービス、住宅型有料ホームなどを展開する、イツモスマイル(徳島市、大田仁大社長、小泉卓也社長、和田文平副社長)は、2023年4月に徳島県神山町と共同で開発した地域アプリとタクシー料金計算アプリをリリース。自治体と連携し、独自にICT化を進める介護事業者の「今」に迫った。

徳島県神山町。人口約4800人の中山間地域に位置するこの町の高齢化率は54・3%と、日本全国の29・1に比べて、遥かに高い値で推移している。移動手段を自動車に頼るこの町は、公共交通機関に関してある課題を抱えていた。

神山町は50年前に町営バスの運行を開始したものの、過疎化と高齢化に伴い、近年の平均利用者数は1便につき0・29人と、ほぼ空車で走ることが続いていた。住宅地からバス停までのアクセスも容易ではなく、高齢者の移動手段としての課題が目立つようになった。

これに関して、神山町はイツモスマイルに相談を持ちかけた。自治体のコンサルタントになぜ介護事業者が選ばれたのだろうか?  それは同社の高齢福祉に関する知見のみならず、介護タクシーの運営、さらにはスマートフォンのアプリケーションの開発など、介護事業を主軸にしつつも、その枠に収まらない活動が注目されたからだ。同社は住民専用スマートフォンアプリの開発と、それと連携するタクシー事業を提案した。

イツモスマイルがソフトウェアの開発を手がけるようになったのは2017年。新型のナースコールを作ろうとしたのがきっかけだった。同社の小泉卓也社長は次のように話す。「自社の施設にナースコールを導入する際、既存の製品にはどれも善し悪しがありました。それならいっそのこと自分たちで作ろう、ということになったのです」

後編に続く

ページトップへ