- 2025/09/26
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介護・育児のダブルケアがついにトリプルケアに!
前回は父親の介護が始まるきっかけになった日のことなどを振り返りましたが、20代から25年以上も親の介護をしている間に、私の人生にも大きな変化がありました。
年齢的にも婚活に励んでいた時期もありましたが、親のことを話すと別れを切り出されるなど結婚を諦めかけていると、出会いは突然やってきました。両親のことを知っても「問題ないよ」と言ってくれる男性とめぐり合ったのです。結婚後は、何かあればすぐに駆け付けることができる距離に住み、母親をサポートするかたちで私は通いで父親の介護をすることになりました。
結婚して1年が過ぎたころ、息子を授かります。里帰りは予定していませんでしたが、産後の体調が戻らず、急遽、実家へ。父親の介護、私と赤ちゃんのお世話を母親が一人で担いました。父親はかわいい孫に目じりを下げていましたが、母親は目が回る忙しさに疲労困憊する日々だったと思います。
目の不調を訴えていた母親は無理がたたったのか、網膜剥離で緊急手術を受けることに。母親に付き添うために、父親は緊急のショートステイにお願いできても、首の座らない息子を預かってくれるところがありません。頼みの綱の夫の両親も運悪く旅行中。行政に子どもの預け先を相談するも、首が座らない赤ちゃんを預かってくれるところは条件などが厳しいようでした。職業柄、頭の中を整理するために、ブログを書いているとそれを読んだお義母さんが飛んでやってきました。どうやら、私は日程を勘違いしていたようです。このときは運よくピンチを乗り越えましたが、イレギュラーなことが起きるたびに、壁にぶち当たるのがダブルケア(介護と育児の同時進行など、複数のケアをする)の現実です。育児と同時進行のダブルケアの場合は子どもも巻き込むことになります。そうならないためにも一人で抱え込まず、周りに助けてもらうことが重要だとより強く思うようになりました。
息子が幼稚園に入園すると発達障害だということがわかりました。父親の介護に加え、息子の療育(個々の発達段階や特性に合わせた支援で、日常生活に必要なスキルを身につけ、自立を促す)で施設へ通うなど、毎日が忙し過ぎて当時の記憶が飛んでいるくらいです(夫は部署移動で長期海外出張で不在)。それでも、息子に関する福祉のための手続きや福祉サービスの利用がスムーズにできたことは、父親の介護経験の産物なのかもしれません。ダブルケア、悪いことばかりではないようです。
息子が3歳のとき、母親が転倒して左手を骨折。そのころから、母親の心身が転がり落ちる石のように衰弱していきました。要介護2の認定が下りるほど、介護が必要な状態になっていたのです。そして、父親、母親、息子のトリプル(!)ケアが始まりました。(続く)
(プロフィール)
おかざき・あんり 若年性認知症の父親の介護と卵巣がんになった母親の看病を20代から担う。その後、子育てと介護が同時進行のダブルケアラーに。著書に自らの経験をつづった『笑う介護。』(成美堂出版)など。
オフィシャルサイト https://anriokazaki.net/